SNSがソフトの在り方を激変させることを察知(2012/2/1発行 創造おおいたNo.130掲載)
決して良い響きではなく、むしろ“いい加減”の代名詞のように扱われてきた。
しかし時代は流れ、土木業界にも正確な原価管理に取り組む風潮が一般化してきた。
これら中小土木業者に向けて、いち早く原価管理ソフトを提案してきたのがミヤシステム株式会社である。
社名と同じネーミングの『MIYAシステム』は、宮脇建設株式会社の創業者・宮脇健司氏の手で開発された。
自らの経営経験を活かし、「現場のリアルタイムな損益管理の実現」を模索。
その結果、これまでの現場担当による日報を中心とした「事後管理」をベースにした他社ソフトと一線を画し、現場での施工をグループ化した「先行管理」による、日歩単位の損益管理が可能なMIYAシステムを確立させた。
2002年にはシステム開発・販売会社のミヤシステム株式会社を設立。
故人となった宮脇健司氏の遺志を引き継ぎ、宮脇貴代之代表取締役が陣頭指揮をとって同システムを進化させている。
現在はインターネット、Webカメラ、携帯電話を駆使して現場の「見える化」を実現させ、オンデマンド管理ができるソフトの域にまで達しており、2008年度には「九州IT経営力大賞」も受賞した。
宮脇社長のパートナーとして、本システムの普及に大きく貢献しているのが、宮脇恵理常務取締役だ。
県外に出かけることが多い社長とは別に、社内の企画・広報にとどまらず、県内の異業種交流やセミナー講師なども行っている。
「当社は独立した情報サービス業というより、ユーザーのシステム企画室的なポジションで事業を展開してきました。
建設業界の変革期にITを身近な存在にしたいという志で創業した経緯があり、ユーザーの要望に応えながら共に育ててきたソフトであり現場の視点だと自負しています。
これが建設業界の原価管理ソフトとしては“異端児”といわれる所以でもあります。
いわばソフトを売るというより、ノウハウを共有するというコンセプトです」
宮脇常務が話すように、同社では単にソフトを販売するだけでなく、ユーザー同士をむすぶホットなコミュニティが構築されている。
現在のユーザーは全国に及ぶが、たとえば「ミヤシスサミット」と題し有志による勉強会を定期的に開催し、その後はSNSでフォローを行う。
会合では同システムに対する意見や要望をヒアリングし、システム改善に反映。
時には家族連れで参加できるイベントも交え、ユーザー同士の親睦を深めることに貢献している。
電子注文請書管理システム『請com』開発や、日本初の建設業LLP『土建屋魂』設立は、ミヤシスサミットに端を発したものだという。
これら一連の取り組みを運営しているのが、宮脇常務であり、まさに女性の視点を活かしたケアが施されているからといえる。
「SNSが簡単に導入できる時代になったおかげで、地域を越えたネットワーク構築に、より深みをつけられるようになりました。
MIYAシステムでもFaceBookを活用した取り組みに力を入れ始めています」
昨年認定された経営革新計画では、コンサルティング業務に力を入れ、建設業界にとどまらず異業種への進出も視野に入れていることを表明した。
ユーザー同士の“絆”を重視した同社の取り組みが、SNS時代に突入したいま、いかに活かされていくか。
行く末が楽しみである。