財団法人 大分県産業創造機構 大分県知的財産事例集
-以下本文抜粋
特許
工事原価管理ソフトMIYAシステム
特許取得前と取得後の社会的評価の違いを実感
1995年に施行された「建設産業政策大綱」により、建設業界は大きな転機を迎えた。これまでの公共事業に依存してきた業者にとっては、技術と経営に優れた企業が適正な市場競争を通じて成長できる枠組みを作るという方針を突き出され、これまでおざなりにしていた原価計算等を厳しく管理していく体質に転換せざるを得なかった。
しかし、専門のシステム会社が作った原価管理ソフトは何十種類とあったが、いずれも現場の実状にあった管理ができないものばかり。「日々の入力は簡単で、自社歩掛の作業も自動的にできる」「様ざまな角度から工事の分析が可能」といったうたい文句につられて導入しても、建設業者の本来の要求に応えるようなものではなかったという。ならばと建設会社自身が考案したソフトが、ミヤシステム株式会社の『工事費用管理祖位置及び方法』ソフトである。
同製品は土木建設工事を手がけていた宮脇建設株式会社の宮脇健司代表(故人)が主体となって開発したもの。その機能は同業者からは高く評価され、同社は特許申請に踏み切った。
「そもそもこの業界でこういったソフトが特許を取得した前例がなかったため、行政や大手業者へ持ち込んでも、『特許出願は誰もが出来る』と相手にしてくれませんでした。販売計画も立案していたのですが、それも取りやめざるを得ないという事態にまで追い込まれました」(宮脇恵理・常務取締役)
しかし同ソフトが、工事費用を管理するソフトとしては日本で初めて特許庁の認可が2000年2月に下った時点で周辺は一変する。これまで相手にしてくれなかった担当者や各種機関もバックアップしてくれるようになり、その反響は大きいものであった。
「この機械を逃してなるものかと、『ミヤシステム』の一般販売に踏み切りました。これまでは社内で使っていたのみでマニュアルさえもなかったため、県の支援をいただいてパッケージの再構築をして、全国展開の販売までこぎつけました。大手企業と対等に渡り合えるのも、特許取得最大の武器になっています」{宮脇貴代之・代表取締役)
特許許可の前後でこれだけ扱いが違うと痛感した同社は、その後まもなく2つ目の特許を取得する。
「ミヤシステムの中には、今までにない斬新は手法が入っているので、周辺特許も押さえて行った方がいいと判断したのです。原価管理と工程管理を連動させ、コストと時間を同時に管理する点で、既に実用化しているものであり、初回よりスムーズに認可が進みました」
同社では、インターネットを通じて、多くの顧客を増やしている。販売当初は40社しかなかったユーザも現在は200社までに増大している。
「特許は取得したあとが大切。ミヤシステムではユーザー同士の勉強会が盛んで、それがまた次のバージョンアップへとつながっています」
ヘビーユーザーの中心は20~30代だという。新世代の経営者に、もっとも求められていたシステムだったのだ。
ポイント
1.特許取得前と後では社会的評価が大きく違う
2.周辺特許の取得も実施する
3.取得後もどう広げていくかの戦略を練っていくべき